2016年

12月

H28.12.27(12.26事務所にて)      

、新聞に大卒離職率が掲載されていた。就職して3年以内の離職率は31%、3人に1人が3年以内に辞めているということである。非常に多いというのが私の率直な感想だ。事業規模や業種によっても変わるが、飲食業は5割、規模別では、5人以内の事業所では約6割、大企業(1000人以上)は約26%、4人に1人は辞めている。


この事業所に入ろうとした時は、皆いい加減な気持ちではないと思う。一生この会社で頑張ろうと決意したはずである。なぜそんな時代になったのか。一年前に女子大学生が就職して自殺をした事件があったが、あれは異常な例だと思う。しかし、あのようなことがあると、また一段と離職率が増えるのではないかと懸念している。入社する時は、ここに一生勤めると思って入るのだろうが、それが今は違う。ここでずっと過ごしたいと思って入った以上は、「石の上にも三年」というように、いろいろなことがあっても普通はたいてい我慢する。経営者に不満があったり、職場環境が合わなかったりして辞めるのだろうが、世の中、自分の思う通りになることはあり得ない。人の考え方が違うのは当たり前である。また、雰囲気が合わないというが、雰囲気だけで辞めるのか。そこが私は理解に苦しむ。自分の職業をすごく軽く感じているのではないか。合わなければ次にいけばいい、そんな風に考える人が増えているように感じる。私も税理士を40何年やっていていろいろなことがあるが、この業界を辞めようと思ったことは一度もない。理事長とも一緒に仕事をしているが、当然考え方も違う。しかしそれは至極当たり前のことである。それが人間の社会だ。当然理事長も同じだろう。それを否定していたら人は幸せにはなれないと私は思う。人間社会は、違う人間同士が寄り添って生きていく。従って、妥協したり我慢したりすることは当たり前のことだ。それをいちいち不満に思っていたら人間社会は生きていけない。そのあたりの考えがずれているのではないか。基本的な人間の生き方をもう一度考え直していただきたい。


H28.12.27(12.19事務所にて)             

 元ウクライナ大使が書いた本を4冊ほど読んだ。「グローバリズムとナショナリズム」という話だ。その中に書いてあったが、アメリカという国は、大統領や議会が支配しているのではない。金融機関(FRB)が支配しているという。アメリカでは、FRBが紙幣発行権を持っており、絶大な権力がある。国債を発行すると、国がFRBに利息を払うシステムになっている。FRBの株主は、アメリカ、イギリス等の銀行なのだそうだ。国境がなくなれば、同じルールでいろいろな仕事ができる。だからグローバリズムは国境なくして均一化する方向にある。ところがナショナリズムは、国の成り立ちによって文化も違うので、それを大切に守っていき、共存共栄を図っていく。


 昨今、グローバリズムとナショナリズムの対立が起きている。国際会計基準やBIS基準もグローバリズムの浸透とともにできてきてことが分かる。今は、国々の文化を尊重し合うことが一番大事ではないか。トランプ氏もあのような形でアメリカ大統領に当選したが、ある意味ではアメリカも少し変ってきた。日本もグローバリズムの足かせを今一度解くことが必要なのではないか。


 別件になるが、我々会計業界がAIに取って代わるという話がある。大学の先生の仕事がなくなる可能性があるそうだが、小学校の先生は無くならないそうだ。これは、大学教授は知識を売っており、小学校の先生は、知識ではなく人を育てることもしているためだ。


 我々の業界も同様で、記帳代行や決算書作成等、機械でできるような仕事をしている人は間違いなく滅んでいく。コミニュケーションを大事にしたり、人(会社)を育てることを主体に考えているところは残っていく。当法人は昔から後者を選んでいたので、方向性は間違いない。職員の皆さんには、知識だけでなく、人間的な魅力で人を引っ張れるようになって欲しい。


H28.12.8(12.5事務所にて)       

NHKスペシャル」の124日放送回(21時~2149分)で、戦艦「武蔵」が特集された。
タイトルは『戦艦武蔵の最期 ~映像解析 知られざる“真実”~』。

旧日本海軍の最高機密として詳細が隠蔽されてきた人類史上最大の戦艦を、記録映像や新資料をもとに徹底解析していた。

武蔵は20153月、アメリカのプロジェクトチームによりフィリピン沖海底1000メートルで発見され、初めて映像が公開された。ここから、「不沈艦」とまで呼ばれた武蔵が実は決定的なもろさを抱えていたことなど、知られざる実態が判明しつつある。

武蔵がどのようにして沈没したか。

 この戦艦は、部屋が1000ぐらいに区切ってあり、魚雷があたっても、部屋ごとに切り離し、浸水が広がらない仕組みとなっている。しかし当時の設計者の証言によると、武蔵はつなぎ目(リベット)が弱いという弱点があった。そこに無数の魚雷を受け、つなぎ目がずれた。いくら厚い鋼鉄で守られていても、つなぎ目が弱かったため、結局そこから浸水し、沈没した。設計者はつなぎ目が弱いことを知っていたが、上層部には却下され、そのまま建造された。

沈没した後、海中で船首や船尾等、戦艦の重要な部分がバラバラになって海底にあった。普通は沈めば形はしっかり残っているはずである。沈没する際に、戦艦の主砲にある砲弾庫が、爆発したのだろう。アメリカ軍の航空部隊の集中攻撃を受けて沈没し、およそ2400人の乗組員のうち約2000人が死亡し、500人近くが生還したと言われている。

私の父も軍人だった。戦争の話はあまりしなかったが、時々聞いた。父は陸軍だったので中国大陸で戦った。日本の軍隊は非常に勇猛である。小隊長だった父は弾が打たれる中、先頭きって突撃する。当然、弾に当たる。負傷や死は当たり前のことだ。昭和16年に負傷して帰ってきた。そして、私が生まれたということである。

今回の武蔵の話を聞いていると、やはり戦争は馬鹿げていると思う。一瞬にして多くの人が死んでしまう。人と人との殺し合いだから当然なのだが。あれから70年余経つが、世界では依然として戦争は終わらない。人間はなんて愚かなんだと思う。戦争は、膨大なお金と膨大な人命が損なわれる。不沈艦と言われても沈んでしまう。ましてや、今は核爆弾がある。戦争は、「損あって、益がない」行為だ。私の父も口には出さなかったが、戦争には反対だった。今、日本も憲法改正をやっているが、どうにかならないものか。切ない思いでいっぱいである。


11月

H28.11.17(11.14事務所にて)           

 書籍『松下幸之助の生き方』に税務調査の話が載っている。経営の神様と言われた松下幸之助氏も税務調査が入った時に、どのくらい徴収されるのだろうと不安で仕方がなかったそうだ。ところが、考えてみたら、会社は世の中から預かっているものであり、これは自分のものではない。だからどうにでも調べてくれ、と思ったら、結局はあまり徴収されなかった、という話だ。
 納税意識の根底にあるものは何か。正に経営者の考え方だ。会社を私のものと見るのか、公のものと見るのか。中小企業といえども、会社は公のものだ。自分のものではない、預かっているだけなのだ、と達観できるかが鍵だ。



 先日、トランプ大統領が誕生したが、それについて皆さんはどう思われるだろうか。

アメリカ大統領選挙は、投票人の数は総取りなので、勝者が全てその州を取る。しかし、得票率はクリントン氏の方が高かった。それを見て私は2つのことを考えた。1つは、取るべきところをきちんと取る、というトランプ氏の戦略が上手かった。もう1つは、予想以上に経済格差が激しく、現状に不満を持つ層が多いなと思った。イギリスのEU離脱と根底は全く一緒だ。高所得者階級と低所得者階級の対立なのだ。高額所得者階級はEUと一緒にやっていた方がメリットがある。しかし、低所得者は移民問題があり、それによって仕事が奪われている。そこで、移民反対→EU離脱、となる。アメリカも1%の人が富の何十%かを持っていると言われている。その中で、今までの金融政策等を支持しているのがクリントン陣営であり、格差に対する怒りを持った低所得者層を味方に付けたのがトランプ氏だ。ある意味では、世界は民主主義ならぬ衆愚主義に陥っている、と言えるだろう。数が多ければそれを民意とするだけで良いのか。EU離脱などの重大な政策は政治家が大極観、歴史観を持って判断すべきだ。それを一国民にまで委ねるのはいかがなものか。


 我々は、このような現象から既存の価値観や当たり前だったことが変わってきているということを学ばなければならない。私は今年(2016)から本当の21世紀になると前々から言っていた。本当の21世紀がきたのだ。その中で、我々の仕事を再構築する時期がきている。今まで当たり前のようにやっていた税務会計サービスが、あと510年でほぼなくなってくるだろう。その時に何も成長しない人はそこで通用しなくなる可能性が非常に高い。今、FinTech等をどんどん推し進めている。昔はこうだった、今の方がやりやすい、などとは考えないでいただきたい。5年後の未来の技術、世の中を想像しながら、今どういうことをやれば最善なのかを確認すれば、自ずと答えは出てくる。5年後に慌てないために今を変えていく。昔と違うことがこれからも起こる。起こってからでは遅い。今のうちに自分変革をしていかなければならない。世の中も変わっていくが、自分を変えていくことが一番大事なのだ。

H28.11.8(10.31事務所にて) 

小人窮すれば斯に濫る

 小人は、どのように意思決定し、行動すればいいかという指針がなく、指針がないからこそ右往左往してしまう。我々は、指針を作ることを常に意識していなければいけない。すぐに分かる人もいれば、510年経っても分からない人もいる。それは仕方がない。

 お釈迦様は、人間には3種類あるとしている。
・上根:お釈迦様の話を聞いて、すぐにその通りだと悟る人。人間は何度も生まれ変わっている。その人生の営みの  中でお釈迦様のような素晴らしい考えを深く体得している人。

・中根:お釈迦様はいい話をした、いい話だが良く分からない、と思っていて、数年後に、あの時お釈迦様が言っていたことはこういうことなのだとパッと悟る人。

・下根:○○は死んでも直らない。


 上根の人はなかなかいない。では皆さん(()事務所職員に向けて)は下根かというとそうではない。中根だと思う。中根だからこそ、発展の可能性がある。論語の素読等、繰り返し言葉に出すことによって、潜在意識に落とし込まれる。そうすればいざ何か困ったことがあったとしても、それが瞬時に出てくる。だから右往左往しない。

 事務所の中でもよくみてみると、こんなことで悩むことない、こんなことで右往左往することはないじゃないか、というようなことに右往左往している人がいる。それが正に「小人は斯に濫る」なのだ。それは悪くはない。人間なのでそういう時もある。そういう人間がいかに無様で恥ずかしいかをもう一人の自分が客観的に見る訓練をつける。そうすると素直に反省できる。


 論語も字面を追って素読するのではなく、何を言っているのか、この中で何を学ぶか、どう実践していくのか、を考えながら唱和していただきたい。

H28.11.8(10.31事務所にて)   

「マネジメントとは何か」という本がある。その中に、すごくいいことが書いてある。

「生産性の高い従業員が充実感を抱くのであり、その逆ではない」

 皆さんは、仕事に充実していますか?充実しているから生産性が高くなるのではない。生産性が高いから充実感を抱くのだ。これは本当の真理だ。

 私は日報から誰がどういう仕事をしているのかを見ている。1時間でできる仕事をなぜ3時間も4時間もかけるのか。それで充実しているのか、生産性が高いか。慣れてなければ仕方がない。しかし、ある程度ベテランになっていて、3時間4時間が当たり前になっているのであれば、生産性が高いとはいえない。結果として充実感もないだろう。


 時間は命だ。命を削って何かと交換している。これが人生だと思う。時間を大切にするということは、集中した時間で最大の成果を上げていく。そしてお客様や社会に還元していく。こういうことを日頃から思いながらやっていく10年間と、そうでない10年間とでは、その時点で大きな差が付く。来年の新人さんのお手本になるような仕事ぶりを目指してもらいたい。

10月

H28.10.25(10.24事務所にて)       

毎月、致知出版の「致知」を愛読しているが、その中から禅の話を一つ。

円覚寺管長横田南嶺さんの「主人公」という話がある。

人間には、自己(本人)と「主人公(別の人間)」が心の中に存在している。「主人公」というのは仏心(仏)みたいなもので、自分の内面に別の人間がいるようなもの。人間は悪いことをすると反省をするが、それは「主人公」という別の存在がいるからである。嬉しいことがあれば当然喜ぶ。悪いことをして、なぜこんなことをしたのだろう、と思った時に、行動したのは自分自身だが、それに対して反省の念を起させるのが「主人公」である。自己と「主人公」が一体となった状態が「悟りを開いた」ということだ。

私は常日頃、反省する。妬み等の心は年中、人間にはある。良いことをしても「本心から良いことをしているのか」と問われるとそうではない場合がたくさんある。自分自身が前に出すぎていないだろうか?打算的に行動していないだろうか?こうしたら世の中の評価があがるから、やった方がいいだろう、等々。本当に「主人公」と一体となった時は邪念がない。「自分」と「主人公」が一体となるように日々励んでいるが、なかなか難しい。世の中のいろいろな行いが計算ずくになってしまう。

自利利他を「自利は利他によってもたらされる」と考えること自体が違っている。素直に、自分の利益は他人の利益、他人の悲しみは自分の悲しみ、そう本当に思えることが「主人公」と自分が一体となったということ。これは非常に大変なこと。悟りに達するのは難しいが、日々努力する姿勢が大事であると思う。

H28.10.11(9.26事務所にて)  

 労働生産性について話したい。
 労働生産性の向上は、中小企業の最大のテーマである。
計算方法はいくつかあるが、限界利益(粗利)を総労働時間(役員含む)で割るというのが最も分かりやすく効果的である。決算で総労働時間を集計し、自社がいくらなのか、去年と比較してどうなのだろうか、ぜひ把握して頂きたい。管理会計というのは過去と比較するのがまず大事になってくる。

 業種によって数値は違ってくるが、労働生産性を最も大事にしてほしい製造業では、大企業は7,000円、中小企業は3,500円(中小企業白書より)と言われている。中小企業でも労働生産性が高い企業はあり、私が知るところで一番高いところは8,700円という誰も真似できない生産性を誇っている会社がある。その会社は、どうしたら労働生産性が上がるのか常に考えており、現場の作業効率はどうか、工場内の動線はどうか、段取り(準備作業)はどうかといった事を社長が率先して常に改善しようと心がけている。そして従業員から毎月改善提案を出してもらっている。

 労働生産性を上げるには、理屈上は売上を上げる、利益率を良くするという話だが、そのためにどうするのかという事を考えるのが社長の仕事だと思っている。稲森和夫のアメーバ経営では、毎月労働生産性の管理をしている。私は中小企業の効率経営の中で労働生産性の向上が最大のポイントだと思っている。

H28.10.6(9.20事務所にて) 

子曰く、君子は義に喩り、小人は利に喩る。 【里仁十六】

(訳)君子は道理を理解し、小人は損得を理解する。

会社の役員だから君子であり、従業員は小人であると勘違いしてはならない。小人の人がそのまま役員になってしまうこともあるし、君子だからと言って常に君子でいられるとも限らない。だからこそ論語などをものさしとしながら我が身を省み、自分の心がぶれていないか確認していくことが大事。
 
 後藤新平さんの言葉を紹介したい。

  「事業家たるもの 財を遺すは下 事業を遺すは中 人を遺すは上なり

   されど財無くんば事業保ち難く、事業無くんば人育ち難し」

つまり、財(利益)というのは事業を保ち、事業の中で人を育てるために必要なのだという視点を忘れてはいけない。今苦境に陥っている経営者は、世の中のせいでもなんでもなく、その人の根本的な考え方が間違っている可能性が高い。本当の意味での経営改善は、その考え方を正していかなければいけないと考えている。

「人を大切にする経営」は、日本の中のごく一部でやっていると思われがちだが、決してそうではない。例えばストローのシェアが世界一の会社が中国にある。利益追求の会社であったが、社長が途中から考え方を改め、自利利他の経営をするようになったのだ。例えば、一流の料理人を社員食堂で雇って社員は無料、社員の家族も半額で食べられたり、社員寮をホテルのように過ごしやすく改築し、退職者も住み続けたりしている。(※日本と税制が違います。)

 事務所の経営理念である「人を活かし お客様を活かし 社会を活かす」の「社会を活かす」というのは何を大それたことを言っているんだと思われたし、存在意義の一部にある「幸福社会を創造すること」というのは宗教がかっていると言われたこともある。しかし、20年たった今、人を大切にする経営学会でお会いする方というのは、皆同じ思いを掲げている。皆さんもぜひともそういう人と交流していただきたい。

9月

H28.9.30(8.29事務所にて)

 資格をはじめとした、試験を受けるという事はどういう事だろうか。自分がやってきた事がはたしてどの程度なのか、社会的に力量を判定してくれるという事と考えて頂きたい。力量は判定してくれるが、その人の存在価値を決めるのは、試験を受かってからの生き方やあり方が大事になってくる。資格というのは頭の良し悪しだけではない。資格をとるというのは一定の頭の良さは担保してくれるが、それ以上に人間としての生き方を若いうちから学んでいたかどうかでその後が大きく変わってくる。
 
当事務所では論語の素読を毎週行うようになって丸3年たつ。自分の身に置き換えて考えてみる人、ただ読むだけの人、論語について少し調べてみようと思い立つ人、職員によって違いが分かる。論語の素読をなぜ行うか。潜在意識に落とし込むためだ。潜在意識は良い悪いを判定しない。しかし、それがいずれ現実化する。つまり、人間思った通りになる。自分はなぜうまくいかないのかと考える人もいるかもしれないが、それも自分が思った通りになっている。自分の中でうまくいかないこと、悪いことばかりを考え、それが身体に染み付いてしまい行動をとっているからだ。だからこそ論語の素読を行い、若いうちから潜在意識に落とし込むことによって10年たつと大きく活きてくる。
 
論語を読む際は自分なりに解釈をし、それが間違っていないか検討することが大事。論語の本は有名なところでもいくつかあるが、一番おすすめしたいのは講談社学術文庫の「論語」という本。難しい本も多い中、分かりやすくなじみやすいのでぜひご一読いただきたい。このような考え方、生き方を自ら実践し、お伝えしていく。そういうものがこれからの会計事務所の本当の存在意義になるのではないだろうか。

8月

H28.8.2(7.25事務所にて)

72歳になったが、70歳代で必ずやると意識していることがある。それはゴルフのエージシュート(自身の年齢以下の打数でゴルフを回るということ)である。

日本のゴルファーでエージシュートをやるという人は、統計的には分からないが1%以下なのではないだろうか。当然だが年齢と共に体力は落ちる。私も65歳くらいからどんどん飛距離が落ちており、最近では200ヤードくらいしか飛ばすことが出来ないため、400ヤードの時は2オン(2打でグリーンにのせること)はまず出来ず、3オンを狙うようになった。これからは、基本的にスイングを変えないとダメだなと感じてきた。今までのやり方だと70台で回ることが年に23回しか出来ない。この状態だとエージシュートは夢のままだ。エージシュートの全国平均は84らしいが、12年後の自分は想像もつかない。ゴルフが出来ているのかなとさえ思う。エージシュートを達成するために、健康は第一だが、スイングを変え、90%以上はフェアウェイをキープし、アプローチとパターはピン側に寄せるという、基本的なようで一番難しいことをコツコツとやっていきたい。

なぜエージシュートにこだわるかというと、歳を取ると執念というものが薄れていくため、何かをやるという意識を持たないと衰えていってしまうのだ。私の場合はそれがゴルフであり、身体が続く限りやっていきたい。老人でも生きるということ、それに対して常に目標を持っていくということは絶対に必要だと思う。

H28.8.1(8.1事務所にて)      

子曰く、後生畏るべし。焉んぞ来者の今に如かざるを知らんや。
四十五十にして聞こゆること無くんば、斯れ亦た畏るるに足らざるのみ【子罕二十三】

(訳)若い者を侮ってはならない。後輩よりも現役の者のほうがすぐれているとどうして分かるのか。ただ、四十五十となっても、まだその名が聞こえないようならば、畏るるに足りない。 

  後輩との接し方でその人の人生が変わってくる。接し方がうまい人ほど、後輩から慕われ、持ち上げられる可能性が高い。接し方が下手な人は、ゆくゆくは後輩から捨てられていくのではないだろうか。若い人は出来ることが少ないかもしれないが、大きな可能性を秘めいている。その可能性に光をあててあげることが大切だ。

  事務所も来年、新入社員が数名入社する。その人たちが4050歳になった時にひとかどの人になれるよう接してあげることが大切ではないか。


7月

H28.7.25(7.19事務所にて)

先日行われた全英オープン、最初から最後まで6時間にわたり見ていた。20アンダーで優勝したステンソンと準優勝のミケルソンの二人が下位を突き放しており、最後までマッチプレーのような戦いであった。第3位の選手が6アンダーであり、トップ3の選手が10打も離れるということはなかなかない。見ていて鳥肌が立つくらいすばらしい戦いだった。

ステンソンのプレー態度は、全くしゃべらず、とても寡黙である。スコットランドの難しいホールにもかかわらず、18ホールの内、半分近くがバーディだった。67メートルのパットがどんどん入ってしまう。こんな事があり得るのかなと思うくらい、神がかっていた。日本選手が15オーバーくらいだった事を考えると、どれだけすごいかが分かるのではないだろうか。20アンダーというのは全英でも初めての事だった。

ステンソンのラインのよみ方は、私流でいうと「淡々」とやっているということである。ゴルフはその人の人生や人柄を物語る。キャッキャ、キャッキャと浮ついていると、スコアもなかなか伸びない。ステンソンは終始淡々とプレーしていた。スコットランドのコースは日本と違って、フェアウェイを外れると大変。日本はフェアウェイを外れてもある程度整備されているが、あちらは少しコースを外れると荒地のようになっている。ラフは我々ではなかなか抜け出せないのではないか。ステンソンはそんなコースでも、失敗したあと一打できちんと戻すことができていた。素晴らしいパットが決まっても片手をあげるだけで、喜怒哀楽をほとんど出さず、まさに「淡々」としたプレーだった。

世界のトップに立つという人は、そういうところも含め、すばらしいなと感じた全英オープンだった。

6月

H28.6.8(5.9事務所にて) 

 徳川家康の話をしたい。

「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」という有名な言葉にも表れているように、のんびりした人物という印象がある。そんな印象とは裏腹に、家康の祖父母は20歳中ごろに家臣に殺されており、家康の子どもの信康も織田信長の逆鱗に触れて家康自ら切腹を命じたという激しい家庭環境にあった。しかし、家康はそんな環境にあったからこそ、自分を抑えるということを学んだのではないのだろうか。私は日ごろから「淡々に生きよ」と話しているが、家康はまさに淡々と生きた武将だと思う。

自分で分かっていても、「素知らぬ体」でいると家臣がきちっとやってくれると家康は言っていたそうだ。自分の感情や内々に込めた気持ちを徹底的に抑え、そして自分は聞いていないよという素知らぬ体でいるのが一番良いと考えていた。自分の好きや嫌い、つらい過去やしがらみがあったとしても、素知らぬ体で任せるというのはなかなか出来ることではない。

最終的に天下統一を成し遂げ、それ以後200年を超えて続く幕府を開いた家康だが、それまでは今川義元、織田信長と多くの武将に仕え、逆らわず、いつも3番目4番目という位置で頭を下げていた。自分が一番という武将たちが天下取りを争っていた中でも素知らぬ体を貫いていたのだ。

そういった生き方はとても感心する。淡々と生きるとはそういうことなのではと思う。

5月

H28.5.12(4.11事務所にて) 

  「戒」について話したい。

  戒とはいましめの事だが、仏教には「五戒」というものがある。

 

  不殺生(ふせっしょう)生き物を殺してはならない

  不偸盗(ふちゅうとう)他人の物を盗んではならない

  不邪婬(ふじゃいん)邪な性関係を結んではならない

  不妄語(ふもうご)嘘をついてはならない

  不飲酒(ふおんじゅ)酒類を飲んではならない


 お釈迦様はこれらをあげ「五戒をせよ」とおっしゃった。

 この五戒を自分に当てはめるとどうだろうか。私は殺生はしている。蚊が腕に止まれば、パチッとやってしまうので年中しているのではないだろうか。不偸盗は出来ているだろう。他人の物は盗まない。しかし盗むという言葉が合うかどうかは分からないが、他人の言葉を自分で使ってしまうというのを含めてしまうと、不偸盗は出来ていないということになってしまう。不邪淫は、美しい女性が近くを通ればおっと思う事ぐらいはある。不妄語はできていない。大きな嘘はつかないが、些細な嘘は言ってしまっているような気がする。不飲酒は全くできていない。お酒が大好きなのでたくさん飲んでしまうし、これからもそうだろう。お酒を飲んで乱れなければいいと思っているが、お釈迦様はお酒を飲むこと自体を戒めている。

 この5つの戒めを完璧に守れればお釈迦様になれる(悟りを開ける)。完璧にやるというのはもちろん難しいが、心にこの戒めをとどめておいて欲しい。五戒をもとに恥を知るということが非常に重要だと思う。守れなかったという自分を恥じる。

 2500年前にお釈迦様が言ったことが、現代社会にも生かせるというのはすばらしいことだ。


H28.5.9(3.28事務所にて)

 子曰く、人の己を知らざることを患えず、己の能なきを患う。【憲問三十二】

()他者が己の能力・力量を知らないからといって不満を抱くな。自分はまだまだ力不足であることを心にいたすことだ。


若いうちは資格をとったり勉強ができたりすると何でもできると錯覚してしまうことがある。自分もそうだった。会計士の三次試験時が、商法(現:会社法)が変わるタイミングだったために必死で勉強し、当時の代表社員や先輩方よりも勉強をした。自分でそういう立場になって分かったが、現時点では今の私たちよりも若い人たちの方が改正等については勉強をすると思う。しかし、こうして一生懸命勉強をして、喜び勇んでお客様のところに行き質問に受け答えをすると、どうしてか信じて頂けない。若いからバカにされているのかなと思うこともあったが、それは違うのだ。

 情報というものは、誰がもたらすかによって信じられる。Aさんが言ったことは信じられても、同じことを言っているBさんは信じられない可能性がある。その時に何だこの!と若かったから思ってしまった。今にして思えば恥ずかしい話だ。人の己を知らざることを患えて、己の能なきを知らなかった。


能力というのは知識だけと思われがちだが、そうではなくて人格が大切になる。「この人だったら間違いないことを言ってくれる」そういった信頼関係を築くのは一朝一夕という訳にはいかない。長い間付き合いをしていく中で、あの人は信じられる、この人はどうも信じられないと区分けされていく。「能」というのはたしかに知識も必要だが、それ以上に人格が大切だということも含みながら、上記の論語をもう一度読んで頂きたい。

4月

H28.4.5(3.28事務所にて)

 3月23日に日本で一番大切にしたい会社大賞の授賞式が行われた。講演を聞くのもよかったが、授賞式の後の交流会がとても勉強になった。人と出会うことによっていろんな学びがある。
うまくいく人とうまくいかない人は法則があるのではないだろうか。すでに退職した人やもうすぐで定年を迎える人の話を聞いていると、うまくいっている人はうまくいくし、うまくいかない人はうまくいかないということがよく分かる。若いころからこのような人になりたいという成功モデルを見つけられるかどうかが一つの鍵になる。そして、その人の行動特性や考え方を、一度自分の中に素直に受け入れてみること大事。うまくいかない人は何かと批判的になりやすいので、自分にはできない、関係ないとシャットアウトしないで、いいなと思ったら素直にやってみることが大事なのではないか。
 また、本当の反省というのは何なのかを考えてみたい。反省と後悔を混同していないだろうか。反省というのはPDCAサイクルのゴールではなくスタート地点である。うまくいってよかった!ではなく、なぜうまくいったのかを反省し、失敗したらなぜ失敗したのか考えて、一つでもいいから工夫(改善)をしなければならない。失敗してしまった、目標を達成できなかったと思うのは反省ではなく後悔。常々正しく反省し、次の計画と行動につなげるということを繰り返してやっていく、そうやって出来た小さな成功体験の積み重ねで人生を作りあげていくことが大事なのだ。小さな成功体験を重ねられず、そういった考え方や行動特性を身につけられなかった人は、30年たっても同じ人生を送っているのではないか。うまくいっていない人というのは、それらが身についていないことが多く、実に人間の9割はそういう人。だからこそわずか10%が成功者と言われ、あきらめたり後悔したりする人と道が分かれてしまう。ぜひ、気づいた人には今からでもそういった考え方や行動特性を身につけていただきたい。


H28.4.5(3.22事務所にて)

 子曰く、其の身正しければ、令せざれども行わる。その身正しからざれば、令すと雖も従わず。【子路六】
(訳)上に立つ者は、己のあり方が正しければ命令しなくても人々は方針に従う。そのあり方が正しくなければ、命令したとしても方針に従わない。

 本来やるべきだと分かっていることも、やるべきだということよりもやれない事情ばかりを考えてしまい、結果として良い成果が表れないことがある。その原因は、自分もそうだが代表(社長)にあるのではないかと思っている。自分の身が正しいかどうかは自分ではなく周りに判断してもらいたいが、その中で信頼関係がなくなれば組織として成り立たなくなってしまう。
 岩井証券という会社がある。この証券会社は弱小証券だったが、バブルが崩壊し、リーマンショック後に、コスモ証券という自分より数倍大きな会社に対して実質救済合併をした。その際に社長が発表した方針に対して、「それではついていけない」という社員が多くいたが、社長は「だったらどうぞ、他社へなりどこへでも行ってもらってかまわない」と方針に従えない社員を引き止めなかった。そして残った少数精鋭で会社を盛り立てていき、現在の地位を築いていった。
 きちんとした方針を出すのはトップの責任。それを信じて追求していくのは職員一人一人の責任。ただ、それもトップが至らず正しくなければ伝わらない為、今一度、互いに原点にかえることが大切なのではないか。

3月

H28.3.18(3.7事務所にて)

 人工知能~AI(エーアイ)~について話をしたい。
 ロボットはこの20年で急速に発展し、第3次AI時代と言われている。ロボットというと我々がプログラムを入力した通りにやるイメージがあるが、今は失敗を自動的に発見し、失敗をしないように自分で学ぶようになった。それをディープラーニング(DL)という。例えば自動車を何百回、何千回とぶつけていると、そのうち前に何台いてもぶつからないで走るようになる。
 今人間がやっている仕事の半分はロボットができるようになると言われている。人間も失敗して学ぶことを繰り返すが、全く同じことをロボットが出来るようになると、仕事もロボットから人間に置き換わっていく。日本は人口がどんどん減っていくが、ロボットが代わりの労働力となって日本の生産力は落ちない。
 我々の仕事はどうだろうか。失敗して覚えることをロボットができるのであれば、我々の仕事もロボットが出来てしまう部分もあるのではと考えてしまう。そういう時代が20年や30年後にはありえるのではないだろうか。ただ失敗をしないように繰り返すというのはロボットでも出来るようになるので、ロボットでも出来ないような仕事をしていきたいものだ。

H28.3.18(1.25事務所にて)

 来年の四月から導入されることになった消費税の軽減税率について話をしたい。
 税理士会や中小企業の団体、間税会も反対して単一税率を継続せよと主張してきたが、軽減税率に決まってしまった。なぜ我々が反対していたか。
 公明党が「弱者救済 軽減税率」を掲げていた。一般の人は税金が安くなると思い賛成してしまう。一般的に「税金を安くする」と言うと賛成が多くなる。ただ、軽減税率が本当に弱者救済なのか。
 外食を除く食料品を軽減税率の8%のままにするとどうなるのだろうか。
  低所得者(年収200万円以下の人)は世帯当たり年間8,500円税負担が安くなる。
  高所得者(年収1500万円超の人)も世帯当たり年間18,000円税負担が安くなる。
 軽減税率はお金持ちも恩恵をうけるため、弱者救済の軽減税率といってもその効果が薄れてしまっている。お金持ちの人の方が食費も高い傾向にあるため、軽減額そのものは大きくなる。軽減税率より弱者のみに給付(給付つき税額控除制度)をする方が弱者救済になると税理士会も主張してきた。残念ながら、今回連立与党の公明党の強い軽減税率導入姿勢に自民党が寄り切られた形であるが、理論より政治的決着という成立であった。
 今後一年間で軽減税率の準備をしていくが、まだまだ問題は多い。インボイス制度や会計処理など随時情報発信を行い、中小企業者の事務負担が少しでも軽くなるようにご支援していきたい。