第25回経営研究会
テーマ 「税と経済」
講 師 税理士法人報徳事務所 代表社員・会長 池谷達郎


1.日本の税金の現状
  (1) 税の三原則・・・公平・中立・簡素
      この中で今最も重視すべきなのは、「公平」です。
  (2) 負担の公平
     応能負担の公平と応益負担の公平。
     応能負担とは・・・お金持ち(所得の多い人)がいっぱい税金を
                納めたらいいという考え。
    応益負担とは・・・社会から受ける便益に応じて税金を収めたら
                いいという考え。
     例えば、モデル家庭(サラリーマン・専業主婦・子供2人家族)の
    場合、子供が学校に通うと1人当たり70万円の税金を使います。
     2人なら140万円。しかし、サラリーマンの場合年収370万円まで
     税金を負担していません。子供で税金使っているのに払わない
     のは果たして公平な税負担といえるでしょうか。応能負担だけで
    は、公平とは言えず、国民の90%が中流と答える均一化した社
     会では、応益負担も公平に実施されるべきです。ところで、表1
     の平成16年度一般会計歳入歳出概算を見ると、租税及印紙収
    入が41兆円、歳出合計額が82兆円とあります。これは、一般家
    庭で言えば給料が250,000円しかないのに500,000円の支払い
    があるということです。残りはどうするのかが今、問題になってい
    るのです。歳出を急に半分にすることはできませんから、収入を
     増やすしか方法がありません。その際、現在の直間比率65対35
     (図1参照)を50対50位になるようにしたほうが公平なのではない
     でしょうか。
2.日本の経済状況
     図2を見ると、地価高騰が始まる1986年頃から、企業の借金が、
    GDPを超えてきました。GDPとは企業なら年商のことです。
    
3.バブル崩壊の元凶
     バブル崩壊=地価の崩落
    日本経済は土地本位制とも言えます。
    図3表2を照らし合わせていくと、税制の対応が3年〜5年遅い
     ことがわかります。税制は経済に大きく影響しているのです。
4.地価を上げるには?
    地価も需給のバランスで決まります。
    (1) 需要喚起策
     @土地税率の引き下げ(今年の改正 26%→20%の方向)
       ただし供給増の懸念があります。
     A取得税・固定資産税の引き下げ
     B相続税評価額の引き下げ  
     反省してみると、バブル期の地価高騰の一因として、相続税評価額
    が時価の半分で、節税(相続税減額)のため預金を取り崩して土地
     投資を行ったことがあげられます。相続税評価額引き下げは土地の
     物納が減る効果があり、土地供給が減少します。そこで、時限的措
     置で土地の相続税評価額を2分の1にしたらよいのではないでしょ
     うか。
     C過度な規制緩和策の見直し
     D住宅ローン減税の維持・・・土地の需要につながるのでは?
    (2) 供給抑制策
     @物納の制限・・・(1)のBが有効に
     A固定資産税の引き下げ・・・かなり有効では?
     B土地担保制や保証人制度の見直し(競売物件の減少)
5.消費税と経済
     現在の状況を考えると、収入を増やすしかありません。そこで、隔
     年2%ずつ5回(通産10年)消費税率をアップさせ15%とする方法が良
     いと考えます。現状のまま消費税率を上げないのは、政策の遅れ
    の最たるものではないでしょうか。
     消費が伸びない理由は、老後の不安など将来の不安に起因する
     考えます。そこで、消費税率を2ケタ・目的税化し、老後生活の保
     証をすることで不安を取り除く努力が必要です。
     総額表示が4月より始まります。改正の真意としては、痛税感を緩
     和し、増税を受け入れやすくするためもあるでしょう。この相続表示
     の経済への影響は、デフレスパイラル脱却効果があると思います。